私たち機関投資家には、受益者のために長期的視点に立ち最大限の利益を最大限追求する義務がある。 この受託者としての役割を果たす上で、(ある程度の会社間、業種間、地域間、資産クラス間、そして時代毎の違いはあるものの)環境上の問題、社会の問題および企業統治の問題(ESG)が運用ポートフォリオのパフォーマンスに影響を及ぼすことが可能であることと考える。 さらに、これらの原則を適用することにより、投資家たちが、より広範な社会の目的を達成できるであろうことも認識している。 したがって、受託者責任に反しない範囲で、私たちは以下の事項へのコミットメントを宣言する。
1 私たちは投資分析と意志決定のプロセスにESGの課題を組み込みます。
考えられる実施例:
- 投資方針書におけるESGの課題を明確化する。
- ESGに関連するツールや計測基準や、分析手法の開発を支援する。
- 内部の運用マネージャーのESGに関する課題を業務に組み込む能力を評価する。
- 外部の運用マネージャーのESGに関する課題を業務に組み込む能力を評価する。
- 投資サービス・プロバイダー(証券アナリスト、コンサルタント、ブローカー、調査会社あるいは格付け会社)に対しESG要因を彼らの研究や調査分析に組み込むように働きかける。
- このテーマについての学究的、その他研究の促進を支援する。
- 投資専門家のためのESGに関する研修の奨励をする。
2 私たちは活動的2な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます。
考えられる実施例:
- 本原則に沿って活動的な(株式)所有方針を検討しそれを開示する。
- 議決権を行使する、あるいは(もし外部委託されているのであれば)議決権行使方針に準拠しているかを監視する。
- (直接あるいは外部委託を通してのいずれかの)エンゲージメント3 の能力を促進する。
- (株主権利の促進・保護などといった)政策、規則および基準設定の開発・策定に関与する。
- 長期的視点に立ったESGに配慮した株主決議案を提起する。
- ESG問題について企業と話し合い働きかけ(エンゲージメント)を持つ。
- 共同のエンゲージメント・イニシアティブに参画する。
- ESG関連のエンゲージメントを引き受け、それに関して報告するよう運用マネージャーに依頼する。
3 私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます。
考えられる実施例:
- (グローバル・レポーティング・イニシアティブ4 のツールなどを用いた)ESG問題についての標準化された報告書を要求する。
- 年次会計報告書内にESG課題について記載するように要求する。
- 関連する規準、標準、行動規範あるいは(国連のグローバル・コンパクトのような)国際的なイニシアティブといったものの採用や遵守に関する情報開示を企業に要求する。
- ESG開示を促進する株主イニシアティブおよび決議案を支持する。
4 私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。
考えられる実施例:
- 募集要項(RFP)に本原則に関連する必要条件を含める。
- 運用マンデート、モニタリング手続き、パフォーマンス指数および報酬体系を、状況に応じて整合性のとれたものとする(例えば、適切な場合には、投資管理プロセスが長期のタイムホライゾンを反映することを保証するなど)。
- 投資サービス・プロバイダーにESG課題に対する要求水準を伝える。
- ESGに関する(情報や調査の)要求水準を満たさないサービス・プロバイダーとの関係を再考する。
- ESG課題を統合することを評価するためのツール開発を支援する。
- 本原則の実施を可能にするための基準の作成、政策の策定を支援する。
5 私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。
考えられる実施例:
- ネットワークおよび情報プラットフォームを支援し、それらの活動に参加する。それによりツールを共有し、人的資源・資金を集約し、かつ投資報告書を研究の対象にする。
- 発生する問題に関しては、広く意見を集約した上で発言する。
- 適切な共同のイニシアティブを設立し支援する。
6 私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します。
考えられる実施例:
- ESG課題問題が運用の実務面においてどのように組み込まれているかを開示する。
- 積極的な株主活動の状況を開示する(議決権行使、エンゲージメント、かつ/または 方針対話)。
- 本法則に関してサービス・プロバイダーから何が要求されているかを開示する。
- ESG問題および本法則に関して受益者と意見交換をする。
- ’Comply or Explain’5 のアプローチを用いて、本原則に関する進捗状況と成果の両方あるいは片方を報告する。
- 本原則が与える影響の度合いを測るように努力する。
- このような報告を活用し、より広範にわたるステークホルダーの関心を高める。
責任投資の原則は、環境上の問題、社会問題および企業統治上の問題が投資実務へ与える影響の度合いが高まってきていることを認識している、機関投資家の国際的なグループによって作成されたものである。 本プロセスは国連事務総長によって召集されたものである。 本原則に署名するにあたり、受託者責任に反しない範囲で、私たちは投資家として本原則を採用し実行することに正式に約束する。今後は、私たちは本原則の内容の効果を評価し、改訂することを約束する。 私たちは、本原則が、受益者へのコミットメントを果たす能力を向上させるとともに、運用活動と広範な社会的利益とがより整合性のとれたものとなることを確信している。 私たちは、本原則を他の投資家も採択することを奨励する。
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1 Translated by Shunsuke Tanahashi (Research Institute for Policies on Pension & Aging), advised by Hideo Shirota (Mitsubishi UFJ Trust and Banking Corporation), Mariko Kawaguchi (Daiwa Institute of Research Ltd.) 翻訳:棚橋俊介(年金総合研究センター)、翻訳助言:代田秀雄(三菱UFJ信託銀行)、河口真理子(大和総研)
2 「活動的」とは「株主責任を自覚したモノいう投資家」ということを指します。そして、株主責任を意識した責任ある投資家として活動的であることを意味する。
3 エンゲージメントとは、株式所有者による企業への関与のことを指します。一般的には議決権行使にとどまらないで、そのほかの方法(直接対話など)も含む概念として認識されます。
4 グローバル・レポーティング・イニシアティブ(the Global Reporting Initiative, GRI)とは、サステイナビリティ・レポーティングのためのガイドラインを促進することを使命とした独立機関です。詳しくはhttp://www.globalreporting.org/ をご参照ください。
5 ’Comply or Explain’のアプローチにおいては、本原則を実行する方法に準拠して報告することに同意するか、あるいは本原則に従わない理由を用意することが求められる。</>



